特定保健指導 約11分

特定保健指導の採算|導入コストと損益分岐の試算

特定保健指導の採算性。初期投資の目安、完了1件あたりの限界利益、年間何件で損益分岐するかをモデルケースで試算。契約単価・人件費・完了率で変動する点を院長向けに解説します。

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第4章:続ける・伸ばす(11〜12) (1/2)

全12記事中 11番目

「保健指導を始めたいが、何件やればペイするのか」——院長が最初に試算すべき数字です。

本記事は 特定保健指導の費用 を読んだうえでの 経営試算 です。以下は 管理会計上のモデルケース であり、自院の契約・人件費で必ず置き換えてください。

前提:既存クリニックの軽量導入

項目モデル仮定
動機づけ:積極的の比率60%:40%
参考単価(動機づけ/積極的)9,290円/27,500円(協会けんぽ兵庫支部2026年度上限の参考値)
完了1件あたり平均売上16,574円(上記単価×比率)
完了1件あたり変動費5,360円(専門職・事務・通信等のモデル)
完了1件あたり限界利益約11,214円
初年度開始件数150件
初年度完了率80%(完了120件)
初年度固定費360,000円
初年度初期投資800,000円

単価は 特定保健指導の費用 のとおり 契約書が正 です。熊本市国保(11,000円/25,666円)など地域差は大きいです。

初期投資の内訳(モデル)

項目モデル金額
契約・院内規程・業務設計150,000円
第4期制度・面談技法・情報管理研修120,000円
個室環境・Webカメラ・ヘッドセット150,000円
電子記録・XML・請求ワークフロー280,000円
教材・同意書・予備費100,000円
合計800,000円

既に健診システム・個室・ICTがある院は 30〜50万円 まで下がる可能性があります。保健師の新規採用が必要なら 数百万円 単位で増えます。

初年度の概算(モデル)

指標金額
売上(120完了)1,988,880円
変動費+脱落者コスト約699,480円
固定費360,000円
初期投資800,000円
概算事業利益約129,400円

3年目に件数350・完了率88%と成長したモデルでは、同前提で 年間約295万円 の事業利益になる試算もあります(初期投資なし想定)。

ここでの利益は、家賃・経営者報酬を配賦する前の 増分ベース です。

損益分岐:何件の「完了」が必要か

初年度固定費36万円+初期投資80万円= 116万円 を回収するには、

116万円 ÷ 11,214円 ≒ 104完了件

が単純損益分岐です。脱落者にも工数がかかるため、安全側には 年間120〜130完了件 を目安にするとよいでしょう。

感度分析(初年度)

年間完了件数積極的20%積極的40%積極的60%
80件▲約49万円▲約26万円▲約3万円
120件▲約16万円+約19万円+約53万円
160件+約18万円+約63万円+約109万円

件数積極的支援比率 の両方が効きます。ただし支援区分は制度基準に厳格に従い、収益目的の振り分けはできません。

契約単価が参考値の80%だと、120完了・積極的40%のモデルでは 初年度赤字 になり得ます。契約締結前の単価確認 が最重要です。

採算を左右する運用要因

要因改善の方向
初回転換率健診当日の先行実施(→ 院内フロー
完了率3か月後評価の先取り、オンライン継続
返戻率資格確認・証跡(→ 請求と脱落
人件費タスクシフト、テンプレート化

まとめ

  • 既存人員・設備を活かせば 比較的小さな設備投資 で開始可能
  • 初年度は立ち上げ費で利益率が低く見えやすい
  • 104完了件前後 がモデル上の損益分岐(自院条件で再計算を)
  • 次は 特定保健指導の参加率 で件数の取り方へ

よくある質問

特定保健指導は健診より儲かりますか?
1完了あたりの委託料は積極的支援で健診より大きいことが多い一方、面談・継続支援の工数も大きく、3か月スパンで脱落リスクもあります。件数・完了率・積極的支援比率・人件費で決まります。
保健師を新規採用しないと始められませんか?
既存の保健師・管理栄養士・医師で回せれば初期投資は抑えられます。フルタイム1名を指導専用採用する場合は損益分岐件数が大きく上がり、健診・栄養指導等との職務共用が現実的です。
単価が高い契約を選べば必ず黒字ですか?
いいえ。単価が高くても年間10件しか来なければ固定費を回収できません。契約前に「対象者見込み数×初回利用率×完了率」を確認してください。

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