データ提出加算の収支シミュレーション|取る価値があるか試算する
データ提出加算の収支を患者数100・500・1,000名規模で試算。手作業と専用ツールの工数差、二重入力削減・エラーチェックのメリット、2026年改定後の損益の考え方を整理します。
データ提出加算の収支を患者数100・500・1,000名規模で試算。手作業と専用ツールの工数差、二重入力削減・エラーチェックのメリット、2026年改定後の損益の考え方を整理します。
データ提出加算の取得を検討するとき、院長・事務長が最初に聞くのは「収入はあがるのか」です。2026年6月改定で生活習慣病向けの点数が50点から10〜30点に下がったため、以前の感覚では試算できません。本記事では、収入より工数(人件費)の差に焦点を当て、手作業と専用ツールで損益がどう変わるかを整理します。
試算の前提
- 収入は「対象患者数 × 加算点数 × 月1回」がおおまかな目安
| 加算 | 点数 | 対象の目安 |
|---|---|---|
| 充実管理加算1 | 30点 | 実績上位20%相当 |
| 充実管理加算2 | 20点 | 実績上位50%相当 |
| 充実管理加算3 | 10点 | 新規届出後のスタート地点 |
| 外来データ提出加算 | 10点 | 地域包括診療向け(新設) |
| 在宅データ提出加算 | 50点 | 訪問診療患者 |
| リハビリテーションデータ提出加算 | 50点 | 外来リハビリ患者 |
充実管理加算は患者ごとに算定するのではなく、月1回・医療機関単位の加算です。在宅・リハビリも同様に月1回です。収入試算では「何名の患者についてデータを出すか」より「その加算が月に何点つくか」が中心になります。
充実管理加算の収入は「患者数×点数」ではなく、月1回・医療機関単位の点数です。加算3なら月10点、加算1なら月30点が目安です。改定前の一律50点と比べると、加算3のみだと月40点分の差が出ます。
| 区分 | 月の加算点数 | 年間(12か月)の目安 |
|---|---|---|
| 加算3(10点) | 10点 | 120点 |
| 加算2(20点) | 20点 | 240点 |
| 加算1(30点) | 30点 | 360点 |
改定前は一律50点でした。同じ医療機関でも、加算3のみの場合は月40点、年480点分の差が出ます(50点→10点)。
経過措置(R9/3/31まで加算1扱い)がある既存施設は当面30点ですが、R9/4/1以降は実績評価で区分が変わる可能性があります(既存取得者へ)。
在宅データ提出加算・リハビリテーションデータ提出加算は50点/月1回で継続です。訪問診療や外来リハビリを月10件以上こなしている施設では、生活習慣病単独より収益インパクトが大きいことが多いです。
充実管理+在宅、充実管理+リハビリなど、複数の加算を届け出ている場合は点数が加算されます。ただし提出ファイルは月1本に統合する必要があり、対象患者の和集合分の外来様式1 (FF1) ファイル作成工数が増えます(注意点記事参照)。
コスト試算では、ツール月額に加えて「届出から算定開始まで5〜6か月」の準備工数を忘れがちです。厚労省ツールは無償ですが、外来様式1 (FF1) ファイル作成の人件費が主な変動費になります。固定費だけでなく、下の変動費表と合わせて見てください。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 厚労省チェックプログラム・支援ツール | 無償 |
| 専用ツール(任意) | 月額 数千円〜(例:弊社クラウド型 4,980円税抜) |
| 取得準備(試行データ期間) | 届出から算定開始まで5〜6か月。試行データ2か月分の作成工数 |
試行データ期間は「収入ゼロ・工数あり」の期間です。届出を決めた時点で、院内の担当者工数もコストに含めて試算してください。
外来様式1 (FF1) ファイルの作成が最大の負担です。点数が下がった2026年改定後は、収入より工数の差が収支を左右します。 手作業でカルテとレセプトを見ながら転記すると、1患者あたり15〜20分かかることも珍しくありません。対象患者が増えるほど、人件費は直線的に膨らみます。
一方、レセプト連携と必須チェック付きの専用ツールを使えば、入力の大半が自動化され、無駄な二重入力もなくなります。厚労省チェックプログラムでエラーになりやすい項目を、入力段階で防げるのも大きなメリットです(選び方はデータ提出システムの選び方を参照)。
| 作業方法 | 1患者あたりの目安 | 100名の月次工数 |
|---|---|---|
| 手作業(カルテ参照+転記) | 15〜20分 | 25〜33時間 |
| 専用ツール(充実管理加算) | 初回1〜2分/2回目以降5〜10秒 | 約20〜40分 |
| 専用ツール(リハビリ・項目最多) | 初回2〜3分/2回目以降10秒〜1分 | 約40分 |
読み方の要点:リハビリテーションデータ提出は、BI・FIM・訓練内容など項目が多く、データ提出の中でも最も手間がかかる加算です。それでも専用ツールなら、2か月目以降は次のペースが現実的です。
充実管理加算は項目が簡素化されており、リハビリよりさらに短時間です。初回1〜2分、2回目以降は数秒〜数十秒で回せる施設が多いイメージです。
結論:2026年改定後は「点数が少し減った」より「毎月の作成工数が続く」方が収支に効きます。手作業のまま患者数が増える施設ほど、専用ツールの有無で損益が真っ二つになります。
以下は、月あたりの外来様式1 (FF1) ファイル作成対象患者数を100名・500名・1,000名とした試算です。収入は充実管理加算2(20点/月)を例に、コストはツール月額5,000円(税抜)+事務人件費(時給2,000円換算)で計算しています。在宅・リハビリ加算を併用する場合は、収入側に50点が加算されます。
| 項目 | 手作業の場合 | 専用ツール(充実管理) | 専用ツール(リハビリ併用) |
|---|---|---|---|
| 収入 | 充実管理加算2=20点/月 | 同左 | 充実管理20点+リハビリ50点=70点/月 |
| 月次工数 | 25〜33時間 | 約0.3時間(20分) | 約0.7時間(40分) |
| 人件費 | 50,000〜66,000円 | 約600円 | 約1,300円 |
| ツール費 | 0円 | 5,000円 | 5,000円 |
| 月間コスト合計 | 50,000〜66,000円 | 約5,600円 | 約6,300円 |
| 項目 | 手作業の場合 | 専用ツール(充実管理) | 専用ツール(リハビリ併用) |
|---|---|---|---|
| 収入 | 充実管理加算2=20点/月 | 同左 | 充実管理20点+リハビリ50点=70点/月 |
| 月次工数 | 125〜165時間 | 約1.7時間 | 約3.5時間 |
| 人件費 | 250,000〜330,000円 | 約3,400円 | 約7,000円 |
| ツール費 | 0円 | 5,000円 | 5,000円 |
| 月間コスト合計 | 250,000〜330,000円 | 約8,400円 | 約12,000円 |
| 項目 | 手作業の場合 | 専用ツール(充実管理) | 専用ツール(在宅50点+充実管理20点) |
|---|---|---|---|
| 収入 | 充実管理加算2=20点/月 | 同左 | 在宅50点+充実管理20点=70点/月 |
| 月次工数 | 250〜330時間 | 約3.3時間 | 約7時間 |
| 人件費 | 500,000〜660,000円 | 約6,600円 | 約14,000円 |
| ツール費 | 0円 | 5,000円 | 5,000円 |
| 月間コスト合計 | 500,000〜660,000円 | 約11,600円 | 約19,000円 |
シミュレーションの前提(工数)
逆に、管理料の算定患者が多い、在宅・リハビリも並行している、100名を超える規模の施設ほど、専用ツールで工数を抑えるメリットが大きくなります。ツール選定のポイントはデータ提出システムの選び方にまとめています。
収支試算で見えてくるのは、「点数」より毎月の作成工数です。手作業のままでは100名規模でも月20時間超、500名なら事務体制ごと破綻し得ます。
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リハビリのように項目が多い加算でも、初回2〜3分・2回目以降10秒〜1分のペースが現実的です。充実管理加算ならさらに短く回せます。試行データ期間にデモで実際の工数を測り、上のシミュレーションを自院の数字で置き換えてみてください。ツール比較の観点はデータ提出システムの選び方もあわせてご覧ください。