特定健診は売上の次の一手|充実管理加算・施設評価・保健指導まで院長向けに整理
2026年改定で特定健診の受診有無(LSME001)が充実管理加算の提出必須項目に。実績評価・特定保健指導との接続で、健診を「単発事業」から収益の柱へ変える考え方を院長向けに解説。
2026年改定で特定健診の受診有無(LSME001)が充実管理加算の提出必須項目に。実績評価・特定保健指導との接続で、健診を「単発事業」から収益の柱へ変える考え方を院長向けに解説。
生活習慣病を診ているクリニックにとって、特定健診は 「健診シーズンだけの仕事」 ではなくなりつつあります。
2026年6月の診療報酬改定で、生活習慣病管理料の 充実管理加算 は「データを出す」だけでなく 管理実績の相対評価 に切り替わりました。外来様式1には 特定健診の受診有無 (LSME001) が新設され、脂質異常症・糖尿病の 実績評価指標 にも 特定健康診査(=特定健診)の受診 が明示的に含まれます(後述の出典参照)。
つまり院長が押さえるべきは、健診単価そのものだけでなく 「健診 → データ提出 → 施設の実績評価 → 特定保健指導」 という一本の収益ラインです。
旧「外来データ提出加算(50点・一律)」は、2026年6月以降 充実管理加算(10〜30点・実績で区分) に改称されました(出典:厚生労働省 令和8年度 外来データ提出加算等に係る説明資料)。
| 観点 | 2026年5月まで | 2026年6月以降 |
|---|---|---|
| 名称 | 外来データ提出加算 | 充実管理加算 |
| 点数 | 50点(一律) | 10〜30点(実績で区分) |
| 健診との関係 | 提出項目に健診情報は限定的 | LSME001が必須(40〜75歳) |
| 評価 | 提出の有無 | 提出+他院との相対実績 |
LSME001は、生活習慣病管理料を算定する 40歳以上75歳未満 の患者について、直近6か月以内に特定健診(特定健康診査)を受けたかを記録する項目です(出典:令和8年度 外来医療等調査 FAQ)。
健診を院内で実施していなくても記載は必要です。ただし 「誰が・いつ・どこで受けたか」 を把握していないと、毎月の様式1作成で取りこぼしが起きます。詳細は 充実管理加算の要点 を参照してください。
「将来的に施設評価の対象になる」という話で混同しやすいのが、次の2つです。
| 種類 | 何を評価するか | 特定健診クリニックとの関係 |
|---|---|---|
| 充実管理加算の実績評価 | 届出医療機関全体の中での管理実績順位 | 直接関係。脂質異常症・糖尿病で健診受診割合が指標に入る |
| 優良総合健診施設認定(日本総合健診医学会) | 人間ドック等の施設基準・精度管理 | 特定健診の「かかりつけ医」型クリニックとは別ルート |
| 外来医療等調査への適切な参加 | 様式1データの正確な提出 | 加算算定の 前提条件(不備が続くと算定停止の可能性) |
生活習慣病クリニックが当面意識すべきなのは、充実管理加算の実績評価 です。
厚生労働省は、届出医療機関から集めた外来医療等調査データをもとに実績値を算出し、医療機関ごとに通知します。加算1・2は 他院との相対順位 で決まります(出典:厚労省 令和8年度 外来データ提出加算等に係る説明資料)。
| 加算 | 点数 | 実績の目安 |
|---|---|---|
| 充実管理加算1 | 30点 | 届出機関全体の 上位20% |
| 充実管理加算2 | 20点 | 届出機関全体の 上位50% |
| 充実管理加算3 | 10点 | データ提出体制が整備されている |
厚生労働省の公式資料では、制度上の名称 「特定健康診査」 が使われます。日常の「特定健診」と同義です(外来様式1の項目名も「特定健診(特定健康診査)」と表記)。
疾患ごとに評価軸が異なります。脂質異常症 と 糖尿病 では、集計期間中の 特定健康診査の受診 が実績指標に 明示的に カウントされます。高血圧症 の指標には含まれません。
| 主病 | 公式の実績指標(要約) | 特定健康診査の位置づけ |
|---|---|---|
| 脂質異常症 | 継続投薬管理患者のうち、脂質異常症に係る検査を実施又は特定健康診査を受診した患者の割合/継続受診割合 | 検査と並列でカウント(どちらかで分子に入る) |
| 糖尿病 | HbA1c検査を実施又は特定健康診査を受診した患者の割合/眼科・歯科連携加算の算定割合/継続受診割合 | HbA1c検査と並列でカウント |
| 高血圧症 | 継続受診を行う患者の割合のみ | 指標に特定健康診査は含まれない |
出典(実績評価の指標一覧)
いずれも、脂質異常症について「集計期間中に、脂質異常症に係る検査を実施又は特定健康診査を受診した患者の割合」、糖尿病について「集計期間中に、HbA1cに係る検査を実施又は特定健康診査を受診した患者の割合」と記載されています。
充実管理加算 との関係
2026gairai-data 社内マニュアル)でも、LSME001の6か月ルール・主病設定を記載しています(ブログでは 既存取得者向けの変更点 と整合)。読み方:院内で特定健診を受けさせるだけでなく、かかりつけ患者の健診受診状況を把握・記録し、LSME001に正確に反映することが、脂質異常症・糖尿病の実績値改善につながります。加算3(10点)から加算1へ上げるには、実績評価を上げる実践ガイド の運用改善とセットで考えるのが現実的です。
特定健診の次に続くのが 特定保健指導 です。健診と保健指導はXML・請求先が分かれますが、患者体験と収益の流れは一本 にした方が院長の数字は動きやすくなります。
第4期(2024〜2029年度)の目標は、特定健診実施率70%以上・特定保健指導実施率45%以上 です。一方、令和5年度の全国実績は健診約60%・保健指導約28% と、指導は目標に大きく届いていません(出典:厚生労働省 特定健診等の実施状況)。
保険者側も実施率が低いと後期高齢者支援金の加算・減算に影響するため、健診だけ受けて指導に進まない患者 は、国・保険者・施設のどれにとっても「もったいない」状態が続いています。
契約単価は保険者・地域により異なりますが、目安は次のとおりです。
| 区分 | 契約単価の目安(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| 特定健診(基本) | 7,000円前後 | 協会けんぽ兵庫支部の上限単価例(出典:協会けんぽ兵庫) |
| 積極的支援 | 2.5〜3.2万円 | 国保入札では2.5万円前後が多い。初回4割・評価6割の分割請求が一般的 |
| 動機づけ支援 | 1万円前後 | 初回面談中心 |
積極的支援は 1件あたり健診数件分に相当する単価 です。健診300件のシーズンで指導対象が60人、うち積極的支援が40人受ければ、指導だけで 百万円規模 の追加収益になり得ます(契約・脱落率により変動)。
保健指導シリーズ全体は 特定保健指導の全記事マップ から読めます。
健診を「受けさせる」だけでなく、クリニックの強みに合わせて伸ばせる領域があります。